★演者に訊く 2009年6月
ゲスト
「似顔絵師・ちばけいすけ」


【全3回 其の3

 前回の掲載から今回の執筆にかけて、妙に忙しかったのです。昨今の不景気では失業率が話題になります。私の近所でも45年続いたクリーニング屋が閉店します。それは歳のせいかもしれませんが、とにかく失業率が高いのは事実でありましょう。
 でもね、労働量と報酬のバランスが悪い仕事の増加というのもメディアには取り上げて欲しいと思ったりする訳です。
 「仕事があるのはいい事じゃない」とは言われますがね、楽して儲けたいよね、本音は。とか言いながら友達が忙しいなんて愚痴ったら「仕事があるだけ…」と言うのでしょう、我輩も。

 ささ、それでは似顔絵師・ちばけいすけさんへのインタビュー第3回(最終回)でゴザイマスよ。

 どんな仕事でも気合の入る案件と気乗りのしない案件があります。似顔絵師の方にも描きたい顔、描きにくい顔があるそうで。

ちば「描きにくい人っていうと、つかみ所のない顔の人って言うのがいるんです。タレ目のようにも見えるし、ツリ目のようにも見えるし、目が離れているようにも、くっついているようにも見えるし、っていう(笑)」

 そういう方がお客さんが来たら?

ちば「とりあえず見たままに描くしかないですね。とりあえず自信満々に笑みを浮かべて『はい!出来ました!!』って渡します」

 学生の頃、私(片岡)は似顔絵が描きづらい顔だとクラスで絵の得意な人に度々言われましたっけ。

ちば「あと難しいのは、小っちゃい子ですね。特に1歳未満の子とか、個性が出てないと難しい」

 外国人は描きますか?

ちば「アジアの人はまだ良いんですけど、欧米の人だとはっきり言って、皆同じ様に見える(笑)」

 細かくパーツ分けしても欧米人は難しいんですか?

ちば「特徴って言うのはどういう事かというと、平均的な顔とどの位離れているかって事なんですよね。自分の中に、その平均があって、私の場合見慣れている日本人なんですよ。だから別の人種の人だと平均の顔っていうのがよく分からない」

 スタートラインが見えない?

ちば「そうです。逆に海外の方に日本人を描いてもらうと、全部同じような顔になってますね」

 身体の特徴を描く事はないんですか?

ちば「凄い首が太いとか、なで肩とかの特徴を描く事はありますね。下半身まで描く事はまずないです。顔が小っちゃくなっちゃいますからね」

 前回伺った、ちばさんが描きたい、味のある顔を持つ芸能人著名人ではどんな方がいますか?

ちば「最近の人だとオードリーの春日とか。味のある、癖のある顔の人ですね。あとは南海キャンディーズのしずちゃんですとか」

 人間以外を描く事はあるんでしょうか?

ちば「動物ですか?たまにあります。お客様が自分と愛犬を一緒に描いて欲しいとか。私は苦手です(笑)。どこが特徴か分からない」

 でも自分の顔よりも、ペットの顔に思い入れが強い人っていますもんね。

ちば「そうなんですよ。同じ犬種を2匹連れてきて描いてくれとか(笑)」

 区別がつかない。

ちば「どうやって描き分ければいいんだ、と。それと双子のお子さん連れてきて、この子達を描いて下さいという時もあるんですけど。そういう時は親御さんにどうやって見分けてるのか聞く時もありますね」

 お客さんのとても特徴的な部分が、その人にとっては嫌いな場所だったりする事もあると思いますが。

ちば「それがお客さんの似顔絵を描くっていう独特の部分です。似せれば良いというものではない。お客さんの中で描かれたいと思っているように描くのが理想なんですけどね」

 何か工夫はされているんですか?

ちば「たとえば3〜40代の女性だと、シワとかなるべく最小限に、別人に見えない程度に描くとか…」

 芸能人の写真でも似たような事がありますね。そんな技術も含め、似顔絵を習うにはどうすればいいんでしょうか?

ちば「似顔絵教室は探すと、カルチャーセンターとか通信教育で結構やってますね」

 ちばさんご自身では教えていらっしゃるんですか?

ちば「星の子プロダクションでも教室をやってまして、そこで交代で一般の人に教える事もやってます」

 将来はこうしたい、という希望は?

ちば「聞かれるかなと思って考えてたんですけど、特にないんです(笑)。足腰の立つ内は今の仕事続けたいなと思いますね」

 では似顔絵師をやっていて楽しい時は?

ちば「やっぱりお客さんが絵を見て喜んでくれた時ですね。絵を描く仕事っていうのは、いっぱいあると思うんですけど、お客さんの反応が即座に返ってくる仕事はそんなにないと思うんですね」

 同時性というのは藝能にとって大事な要素なのだと思います。最後に似顔絵の魅力を教えて下さい。

ちば「私にとっての似顔絵の魅力は小学校の時からずっと変わってないんですけど、写真と全然違うのに、良く出来た似顔絵は写真よりそっくりに見える。そこが似顔絵の一番の面白さだと思ってるんです」

 情報化社会といわれて久しい現代、我々には情報の取捨選択能力が求められます。似顔絵を見ていると、顔という膨大な情報量から必要な情報を拾い上げる見事な技術が結晶している様に感じられるのです。

 皆さんも週末には一度、似顔絵師さんに似顔絵をお願いしてみてはいかがでしょうか?自分の知らない自分に出会えるかもしれませんよ。

 ちばけいすけさんに似顔絵を描いて欲しいという方は星の子プロダクションまでお気軽にお問合せ下さい。

 そうそう、最後にオマケ。オマケになるかどうか分かりませんが、とにかくオマケ。
 以前、本稿の筆者であるワタクシ、片岡一郎もちばさんに似顔絵を描いて頂いた事が御座います。
 それを掲載させて頂きます。
 
 「そっくり〜」って皆に言われたなァ。