★演者に訊く 2009年8月
ゲスト
「ストリッパー・若林美保」


【全3回 其の1

 先日、ン年ぶりに東京ディズニーランドなる所に行ってきました。私にとっては世界の果て(地理的にも精神的にも)に位置する「あみゅうずめんとぱぁく」であったのですが、行ってみりゃそれなりに面白かったりする訳です。
 問題はその後でしてね、友人知人に「ディズニーランド行ったよ」と報告すると「デートだね」と返ってくるんですな。いかに世間にはディズニーランド=デェトという図式が浸透しているかが身にしみて分かったのであります。
 どんなリベラルな思考の持ち主でも思い込みからは逃れられないのですよ。でも多くの人が思考は自由でありたいと思っておりますね。そんなアナタにお勧めなのが「藝能往來」でゴザイマス。ここには割かし自由な方が多く紹介されておりますからね。是非、親類縁者友人知人にもご紹介くださいまし。そうして評価が上がればゆくゆくは教科書にも載ったりなんか…しないか。

 では、今月の藝能者のご紹介です。

 


撮影・スズキマサミ エイクエント東京事務所にて

若林美保
テビュー:1999.11.1、大阪東洋ショー劇場
所属:浅草ロック座
血液型:B
趣味:飲(呑)食&観劇

 

藝能への憧れ

 若林さんは多彩な活動をされてますけれど、肩書きはストリッパーで良いんでしょうか?

若林「ストリッパーで喜んで。どの活動も基本的にストリッパーとしてやってるので」

 なぜストリッパーになったんでしょう?

若林「もともと藝能とかに憧れがあったんですけど、でも藝能とかって小さい頃から何かやってたりしないと、食っていくとかって出来るもんじゃないじゃないですか」

 それでか、俺(片岡)が貧しいのは、と一人納得。それはさておき。

若林「仕事って一日の大半を占めるものだから、詰まんない事してたら人生が詰まんないかなと思って(笑)」

 それでストリップを選んだ?

若林「私は元々(藝事の素養が)何にもないけど、舞台で脱いで、お金もらって、それで生活できる、っていうのから始まったんです」

 大学時代にはお芝居をしていて、年に一度程度の舞台をこなしていたのだそうです。東京生まれの若林さんが選んだのは仙台にある大学でした。

若林「実家に居たら、自分の好きな方向に向かえない、みたいなのがあって」

 この大学、私の妹弟子も卒業している。藝能往來的にはかなり名門校。

若林「そろそろ就職とか考えないとな〜って頃に実家に帰ってきてて。その当時、渋谷とか新宿とか三歩くらい歩くとスカウトマンが声かけて来たんですね」

 そんなに居たとは。男の私には全く実感がわかない。女性は町を歩くのも大変だ。

若林「回りくどいのが嫌いなんですよ。でも、たまたま声かけてきた人が『明日パンチラの仕事があるんだけど。一万円で』って(笑)。そういう所から脱ぎの仕事とかは始めたりしたんです」

 直球勝負は意外と効果があるらしいです。世の殿方諸君。
 ここからアダルト業界の事務所の話とか、ストリップ劇場がお休みなる理由とか、書けない話に花が咲く…。


撮影・スズキマサミ 横浜「浜劇」にて

 

面白そうな事、面白い世界

若林「とにかく面白そうな事はなんでもしてみたかったんですよ。とにかく今まで出来ないでいたから。面白そうで、仕事になることなら何でもしてみたかった」

 ストリップに「面白そう」を感じた?

若林「興味があった、というか。ただ大衆演劇とかの、一回入ったらそこでずっと、みたいな雰囲気があるじゃないですか。ストリップにも同じようなイメージがあったので、なかなか踏み込めなかったんですね」

 ストリップ出演を決意するまでどれ位かかったんですか?

若林「といっても半年くらい(笑)」

 かくして少女はストリッパー若林美保よしてデビューすることになる。1999年11月の事。デビューに際して不安はあったんでしょうか?

若林「女性社会っていうのが怖かったかなぁ。凄い上下関係があって、イジメがあるんじゃないか、とか」

実際に怖いお姉さんはいるんですか?

若林「今はそんなこと全然ないですね。昔は居たみたいですけど。(逆に)新人の子が『○○お姉さんにイジメられた〜』って言ったら終わりですからね(笑)」

 そんな先輩イジメ?が頻繁にあるかというと、そんな事はないそうです。どこの世界にも困った新人ちゃんはいるよね、そういう人って長続きしないよね、という話でした。


撮影・スズキマサミ 横浜「浜劇」にて

  

初舞台のキオク

 初舞台の思い出はどんなだったのでしょう?

若林「私、わりと器用で何でもそれなりこなすんですよ。それで振り付けしてもらって余裕で出来てたんですよね」

 楽勝の初舞台だった?

若林「それがね、照明ついて、お客さん入ったら凄い真っ白になって…。なんだろうな、緊張しちゃったんですよね。ガクガクして」

 いい話。デビューはそうでなけりゃ、と内心ほくそ笑んだ筆者でした。

若林「ただ、緊張して足が震えてたけど、お稽古のとき(振りは)マスターしてたから無意識でも動けた、でもガクガクだった。デビューの時はそうでした」

 しかしストリップは、ただ脱ぎゃあ良いってモンではない。藝能なのですから。どこの世界にもルールがある。それはどうやって学ぶのでしょう?

若林「教える係が居る訳じゃないんですけど、大体デビューのときに一緒になった同じ所属のお姉さん(=先輩)が教えたりとか」

 若林さんも先輩から手ほどきを受けた?

若林「デビューした劇場の楽屋が個室だし、あんまり教えてもらうっていう事がなくて。次の劇場が上下関係もしっかりしてて、お姉さんがデビューの子に教える、とかやってる劇場なんです」

 その劇場で教えられた?

若林「その劇場でデビューの子が居て、そこの所属のお姉さんが教えてたんですよ。それを横で聞きながら『あ、そうなのか〜』って(笑)」

 周りを見て仕事を覚える。藝能者には必須の能力なのです。出来ない人居るけどさ。少なくとも私の回りには。

若林「割と空気を読みながら生活するのが大変大切な感じで、自分で学んでいかないといけない所かもしれない」

 藝は教わるものでなく、盗むもの。

若林「そうですね。ステージもパクりは駄目ですけど、お姉さんのステージとかお勉強して、どうやったらああいう風にできるだろうとか、ああいう風にやるのは止そうとか(笑)」

 最後のは洒落ですよ。分かりますね?
 兎にも角にもストリッパーとしてスタートした若林美保さん。次回はどんな風にステージに取り組んでいるのか。「面白そう」から、面白さをどんな風に実感したのかを聞いていきたいと思います。

★若林美保HP「仏ぼくろちゃまのお部屋」
 
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=wakamiho

 

 それからオマケ。ストリップ用語を二つばかり解説します。

その1 「週」
 ストリップの興行単位。10日間が基本。一ヶ月を三つのブロック(=週)に分けてストリップは興行されている。これは落語等の寄席と同じ興行スパン。

その2「頭(アタマ)・中(ナカ)・結(ケツ)もしくは末(マツ)
 一ヶ月の内で週をそれぞれこう呼ぶ。上旬がアタマという訳。寄席では「カミ・ナカ・シモ」。