★演者に訊く 2011年12月
ゲスト誰をも笑顔にするバンド・りぶさん」


【全3回 其の2

 ドラムがなくてベースとギター2本、でライブをやるスタイル、というのはバンド経験者ならわかるかもしれないが、かなり難しいのである。ドラムがないとリズムを作れないベーシストは実はかなり多いからだ。
 そのためにはギタリストのリズムもよほどしっかりしていないと成り立たない。
私がりぶさんのライブを見て一番先に感じたのは、この3人の出すグルーブ感が凄く良いことだった。

バンドのグルーブ感を養うために
めちゃめちゃ練習しましたよ。
ダンスとステップの」

 きくピーナッツさんの加入以降のサウンドの変化は意図したものですか?

けんぢまん「僕も江口も基本的にホワイトロック(白人が演奏するロック)ばっかり聞いてたんですよ。でもアイツはファンクやソウルなんかのブラックミュージックが好きで、逆にアイツの方が俺らの音に合わせるのが大変だったんじゃないかな。
俺らはアイツの持ってくる音楽が新鮮でカッコ良くてどんどんそっちを取り入れてやりたくなったんで、アイツから吸収することはいっぱいありましたね」

 必然的にそういう曲もどんどん増えていった?

けんぢまん「そうですね。でもきくピーナッツが書いて自分で歌う曲はフォーク調の曲なんですけどね」

(笑)読めない人だな〜。

 じゃあそういう音楽に影響されていった中で何が一番大きかったですか?

けんぢまん「やっぱりグルーブ感じゃやないですか。バンドってそれが一番大事じゃないですか。同じ曲をやってもそのバンドにしか出せない味わいってグルーブ感だと思うし」

 そのグルーブ感って、何か手本になるスタイルみたいなものがあったんですか?

けんぢまん「いややっぱり自分達が作っていく自分達しかできないグルーブ感です。
だからバンドのグルーブ感を養うためにめちゃめちゃ練習しましたよ」

 どんな練習法ですか?

けんぢまん「ダンスやステップの練習ですね」

 へ!?

けんぢまん「スタジオ入って楽器も弾かずに三人でダンスの練習です」

 目からウロコのような練習法。
しかし音を聞く限りその練習法はまったくもって大正解!

りぶさん

 

 曲作りはどうやって?

けんぢまん「ほとんど僕が書くんですけど、描きたい想いがあって、それを言葉と曲で作り上げる感じですかね。スタジオでみんなで作る曲もありますけど」

 描きたい想いっていうのは変わってきてますか?

けんぢまん「ツアーをすることが多くなって各地で色んな風景を見るようになってから、描く世界が広がったっていうか風景が浮かぶ曲が多くなった気がします」

 りぶさんの楽しく燦々とした曲の中にある、切なさや郷愁感は、そんな旅の情景から生まれてくるものなのだろう。

 私が初めてりぶさんを観たライブでは、そんな切なさや郷愁感とは一線を画した、確実に客席からの笑いを取りに行っている曲もあった。それも相当完成度の高い楽曲と小道具まで仕込んで卑怯なまでの根多を仕込み、絶対にハズさない気概さえ感じられたのだが。

けんぢまん「あれは昔の学園祭のノリを引きずったものですね。だからあれを毎回期待されるとツライ(笑)」

 良くできた曲だったじゃないですか。

けんぢまん「ああいうのはかなり真剣にやらないとダメでしょ。だから練習がしんどいしんどい、他の曲の練習が出来なくなる(苦笑)」

 そんなに(笑)

けんぢまん「大変ですよ〜。狙いに行ったのにハズしたらシャレになんないですからね。
でも年に1度の『大馬鹿歌合戦』っていうイベントがあるんですけど、何せ大馬鹿歌合戦ですからそこではたっぷりやります」

 そのイベントは来月1/5に新宿レッドクロスで行われます。真剣な馬鹿歌を真剣に聴きに行きましょう!

りぶさん お正月だヨ!大馬鹿歌合戦
 
 

旅が凄い楽しくて楽しくて、
行く先々で出会いもあるし発見もあるし」

 ツアーという話が出ましたが、年間全国でどのくらいのライブ数ですか。

けんぢまん「100本くらいですね。今年は春と秋に全国回りましたし」

 年間100本やれるバンドなんてそういないですよ。

けんぢまん「でも10人ちょっとしか入れない小さい店とかもあるし、ドラム無しだとそういうところにも小回り効くんで」

 全国を回りたいっていう思いはいつ頃から?

けんぢまん「横浜でライブをやり始めたときもそうでしたけど、東京以外でやる、ツアーをやる発想なんてまったくなかった。
でも横浜のイベントで共演してたミュージシャンが、ツアーをやった方がいいって勧めてくれて、関西のツアーに誘ってくれたんですよ。
もうそれが凄い楽しくて楽しくて、行く先々で出会いもあるし発見もあるし、東京に戻ってすぐ次はいつ行こうって話し合いましたから」

 でもそんなに簡単に地方でのライブは出来るものですか?

けんぢまん「とりあえず前回行ったところにアポをとって、その近隣でライブがやれそうな所をめちゃめちゃ探すんです。最初はオーディション感覚で赤字覚悟でやるんですけど、面白ければやっぱりお店がお客さんを次から呼んでくれて、人が人を呼びどんどんやる場所も増えてくって感じですかね」

 やはり出会いが出会いを生む、ですか。

けんぢまん「そうですね、どんどん広がってるし広げたいですね」

 CDが売れなくなって、コンサートも大会場でやるイベントしか集客がなくなっている昨今、小さい規模でも音楽を体感して楽しむ人達が増えているのは凄い嬉しいです。
全く失礼ですが、それこそテレビに出てるわけでもタイアップの曲を持ってるわけでもないバンドがそうやって活動の場を広げていくのはバンドの魅力あってだし曲の良さだと思います。

けんぢまん「そうですね。なんかそういう当たり前をどんどん楽しんで行きたいし、自分達もお客さんも結局原点回帰じゃないですけど、そういう場に結局戻ってくるんじゃないですかね」

 

 とある東京のライブハウスで、キャパシティ50人という会場がトークショーを開くにあたり、出演者に60人以上お客さんが来たらギャラを出す、という条件で交渉したそうだ。
ん? 10人数が合わない(笑)
そんな世知辛い世の中で、自ら“誰もを笑顔にさせる”と言って活動を広げているりぶさんの往き方はとても素敵だ。丸坊主のおっさん3人バンドに寄せる言葉ではないかもしれないが、とても素敵だ(笑)

次のページではそんな旅での思いでとこれからのりぶさんを。

りぶさん けんぢまん